こんにちはYOSAGYOで3曲入りの2nd EP『Marigold』を作りました。
その中に『奇跡が起きる場所で」というバラードの曲を作りました。

その際にバラードを作る上で色々発見することがありましたのでまとめておこうと思います。
安定感のあるベースのRECと ダイナミクスの処理方法 (12)

曲の雰囲気が明るめか暗めかを決定付ける要素

曲の作りの序盤はまず、曲の雰囲気を明るめにするか暗めにするかを決めます。

この時に主役とするコードを何にするかで雰囲気が決定します。

コードには大きく分けて2つ、メジャー、マイナーがありますがこれら2つは
  • メジャー:明るい、爽やか、楽しい
  • マイナー :暗い、攻撃的、悲しい
このような印象を演出します。

自分がどのような雰囲気にしたいかでこれら2つ、どちらにするかを考えてみましょう。

具体的にはダイアトニックコードのⅠとⅥどちらを主役にしてコード進行を組み立てていくかを考えます。
Ⅰを主役としたコード進行の例は
  • Ⅰ⇨Ⅳ⇨Ⅴ
  • Ⅰ⇨Ⅳ⇨Ⅲ⇨Ⅴ
  • Ⅰ⇨Ⅱm⇨Ⅴ
  • Ⅰ⇨Ⅱm⇨Ⅳ⇨Ⅴ
Ⅵを主役としたコード進行の例は

  • Ⅵm⇨Ⅳ⇨Ⅴ
  • Ⅵm⇨Ⅳ⇨Ⅲ⇨Ⅴ
  • Ⅵm⇨Ⅱm⇨Ⅴ
  • Ⅵm⇨Ⅱm⇨Ⅳ⇨Ⅴ
ⅠとⅥのコード進行の例を挙げましたがこれらはよくみると最初のコード以外は同じ進行です。
それぐらい最初のコードがメジャーかマイナー、どちらを使うかで雰囲気に大きな影響を与えます。

1.ピアノを軸としてオケを組み立てていく

曲の伴奏ですがバラードの場合は特にコードトーンがハッキリする楽器をメインに使用されます。
バラードでよく使用される伴奏のメインの楽器の例は
  • ピアノ
  • ストリングス
  • アコースティックギター
などです。これら3つに共通するのはコードトーンがわかりやすいということです。
  • Ⅵ⇨Ⅳ⇨Ⅴ
というコード進行があった場合にこの間に7thや9th、sus4、テンションなどを入れることで伴奏で曲の表情を演出できます。
  • Ⅵm9⇨Ⅵm7⇨Ⅳsus2⇨Ⅳ⇨Ⅴ7⇨Ⅴ
先ほどのコード進行をこのようにアレンジしました。このコード進行をピアノで伴奏にした場合は世界観にさらに磨きがかかります。

倖田來未さんの『愛のうた』の場合はピアノがメインの伴奏で使用されている。

浜崎あゆみさんの『HEAVEN』では序盤はピアノをメインの伴奏としている。

中島美嘉さんの『雪の華』この曲でもやはりピアノがメインで伴奏になっている。

特にピアノはバラードとの相性が抜群に良いのでピアノを軸としてオケを組み立てていくことをオススメします。
  • ピアノをメインとしてサブにアコースティックギターやストリングスを置く
このように考えるとわかりやすいと思います。 

2.ボーカルを全面的に主役とする

バラードを作る時の大事なポイントの一つがボーカルを全面的に主役とすることです。

そのため、バラードは楽器の演奏はシンプルなものが好ましいと考えます。
  • ボーカルの歌を引き立たせるための伴奏を強く意識して曲を作ります。
なので特に普段ロック系を作っている人は

「演奏が少々地味なんじゃないか?」と感じるぐらいがちょうど良かったりします。

静寂さえも演奏の一つぐらいに考えることがポイントだと私は考えています。

私がバラードで主に使用する楽器は
  • ドラム
  • ベース
  • ピアノ
  • ストリングス
  • ギター
これらを使っていますが基本的に演奏はシンプルなものにしています。複雑なフレーズはなるべく使っていません。
とにかくボーカルが全面的に主役なんだということを念頭においてバラードを作ってみましょう。

3.ドラムはシンプルさを意識

ドラムは特にシンプルさを意識します。一言で表せば
  • バラードのドラムはなるべく手数を増やさない
なので私はスネアの連打などもバラードの場合はあまり使用しません。

静かな展開であればスネアはクローズドリムショットを使用するケースもあります。

バラードの場合、歌を引き立たせるためにドラムはずっと同じリズムを淡々と演奏しているぐらいがちょうど良いです。

ハイハットも基本はクローズにしてラスサビで盛り上がるところだけオープンにします。

シンバルを使う場所も少なめがちょうど良いと私は考えています。
↑参考曲:浜崎あゆみさんの『SEASONS』

4.わかりやすい展開にほんの少しの意外性を持たせる

バラードは曲の展開をわかりやすいものにすることで聴き手にじっくりと歌を聴き込ませることを意識します。

意外性が強すぎると聴き手の耳が歌よりも楽器に集中してしまうためそれを避けるためにもなるべく展開はわかりやすくします。

特に日本人は
  • イントロ⇨1A⇨1B⇨1サビ⇨2A⇨2B⇨2サビ⇨間奏⇨ラスサビ⇨アウトロ
のような典型的な展開パターンが好きな傾向があります。

特にバラードは聴き手を落ち着いて聴かせることが大事なので「1サビの後は2Aがくるだろう」という予想を裏切らないことを意識した上でほんの少しだけ展開に変化を持たせます。

ここで一つ気を付けるポイントを上げると
  • 1番の展開をそのままコピーして丸々2番で使用する
というものです。単純にこれは作曲者として芸がないです。

「展開をわかりやすいものが良いのにこれはダメなのか」と考える人もいそうです。
  • 1A⇨1B⇨1サビ⇨2A⇨2B⇨2サビ
という展開であれば私は
  • 1A⇨1B⇨1サビ⇨2A(1Aの小節数を半分に省略)⇨2B⇨2サビ
のような形にします。

バラードはわかりやすい展開でありながらほんの少しの意外性を意識

このようにして展開作りを私は考えています。

5.同主調の転調でドラマチック性を出す

同主調の転調を曲中に組み込むことでバラードにドラマチック性を演出できます。

同主調の転調とは同じ主音を持つ調へ転調することです。

つまりKey=Cの場合はKey=Cmへ転調するということになります。

以前に紹介したマリオ進行もその一つです。

バラードでよくある同主調へ転調する展開としては
  • Aメロ⇨Bメロ⇨サビ(ここで同主調へ転調)
  • 間奏で同主調へ転調
特にこれら二つはよく見られる展開です。

曲のストーリー性を強くするためにも同主調の転調を展開に組み込むことをオススメします。

6.ラスサビのクライマックス感が大事

ラスサビでクライマックス感があると1番や2番で静かだった分で一気に盛り上がりを解放できます。

具体的にクライマックス感を何で演出するかをあげます。
  • ラスサビで歌い出しをブレイクにする
  • 楽器隊のトラック数を増やして全体的に派手にする
  • 半音上げ転調を使う
  • サビメロに対してコーラスで裏メロを入れる
  • サビ後半部分を二回し繰り返す
 ざっとあげてみました。

一番簡単な方法はラスサビで歌い出しをブレイクにするというものです。

これを入れるだけで「聴き手がここがラスサビなんだな」と認識できます。

もう一つ明確にクライマックス感が出るものは半音上げ転調を使うというものです。
↑宇多田ヒカルさんの『First Love』ではラスサビで半音上げ転調を使ってクライマックス感を演出している。

この方法も日本人が大好きなラスサビのクライマックス感演出方法です。

ぜひこれを意識してバラードのラスサビのクライマックス感を演出してみてください。

おわりに

いかがでしたか?
バラードはとにかくボーカルを引き立たせることが最も大事なポイントと言っても過言ではありません。
そのための楽器陣の演奏になるため、シンプルな演奏を意識することが大切だと考えております。
というわけで今日はこの辺で!ではまた